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微生物検査の基礎知識
 1.菌の増殖

 2.食中毒の種類

 3.微生物の殺菌技術

 4.食品加工工場(調理場)
  における細菌・真菌の
  存在形態

 5.食品加工工場(調理場)
  における自主的微生物
  検査

 6.細菌検査の基本操作

 7.食品の細菌検査に必
  要な機器器具
検査マニュアル


 5.食品加工工場(調理場)における自主的微生物検査
  自主検査の目的
  (1) 原材料の品質管理 保存条件の適合性の評価
  (2) 環境の衛生管理 作業員の衛生意識の啓蒙
  (3) 殺菌、洗浄手順の効果の評価 など


 6.細菌検査の基本操作
 1) 培地の種類

(1) 物性による種類
 A ) 液体(ブイヨン)培地
   - - 寒天を含まない液状の培地で、主に増菌培養に使用されます。

 B ) 半流動培地
   - - 寒天を0.3 〜0.5 %含有し、衝撃を加えると崩れる程度の固さの培地で、主に運動
      性の試験などに使用されます。

 C ) 固形(寒天)培地
   - - 寒天を約1.5 %含有。シャーレに固めたものは平板培地とも呼び、(試験管に斜面
      に固めたものは斜面培地)主に分離培養に使用されます。

(2) 用途による種類
 A ) 増菌培地
   - - 特定の菌種に限定せず、全般的に菌を増殖させる培地です。

 B ) 選択増菌培地
   - - 目的に応じて特定の菌種を増殖させる培地です。目的の菌種の増殖に影響がな
      く、不必要な菌種の増殖を抑制させるための成分が処方されています。

 C ) 分離培地
   - - 複数菌種が混在した中から単一の菌株ごとに分けるための培地です。通常シャー
      レに固めて平板培地として使用します。

 D ) 選択分離培地
   - - 用途は分離培地と同様ですが、特定の菌種を増殖させ、不必要な菌種を抑制する
      ように工夫した培地です(仕組みは選択増菌培地と同様)。

 E ) 確認培地
   - - 分離した菌株について各種の性状を試験するための培地です。

 F ) 保存培地
   - - 分離した菌株を保存するための培地。培地によっては検体の保存に用いる場合も
      あります。

(3) 寒天培地の固め方による種類
 A ) 斜面培地
   - - 試験管に、管底から側面にかけて斜めに固めた培地。スラントカンジダなど。

 B ) 平板培地
   - - シャーレに入れて固めた培地。自家製とメーカーで調製した生(なま)培地がありま
      す。

 C ) 半斜面培地
   - - 試験管を斜面培地のときよりは少し立てた状態で培地を固めて、培地の上半分が
      斜面に下半分が高層になるようにした培地。半高層培地ともいいます。TSI寒天な
      ど。

 D ) 高層培地
   - - 試験管を垂直に立てたままの状態で固めた培地。半流動培地を用いた場合は半
      流動高層培地といいます。SIM培地など。

斜面培地 平板培地 半斜面培地 高層培地
 
 2) 粉末培地の溶かし方

(1)

必要量の粉末培地をはかり取ります。はかりの精度は0.1g程度のものでかまいません。
(2)秤量した粉末培地を適当な大きさのコルベン(調整量よりも少し大きめのものを使用します。例えば1リットルのコルベンで培地量800mLくらいまで)に入れ、必要量の精製水の一部(3割程度の量)を加えて、強く撹拌して完全に懸濁させます。
(3)コルベンの管壁に付いた培地を洗い流すように残りの精製水を加えます。
(4)液体培地の加温溶解:加温は温浴とし、直火は厳禁。温浴の温度は50〜60度くらいにします。

A: 寒天培地の加温溶解
寒天は煮沸溶解しないと完全には溶解しないので、煮沸水浴を用いるか、蒸し器を用いて加温します(直火は焦げる可能性があるので厳禁)。加温中時々コルベンを揺り動かして培地を撹拌する。このときコルベンの内壁に寒天粒子のツブツブが付かなくなったら溶解した証拠です。

B: 滅菌する寒天培地の溶解
蒸し器などで加温してからオートクレーブに入れるのが基本です。精製水で完全に懸濁した状態でオートクレーブに入れてもかまいませんが、この場合オートクレーブで寒天は完全に溶解するが、培地下層に溶けた寒天がかたまっているので十分に撹拌してください(オートクレーブ後すぐにコルベンを揺り動かすと培地が吹きこぼれてやけどをする危険がありますので注意してください)。
 

(5)

滅菌する培地で試験管を使用するものは、加温溶解した培地を試験管に必要量分注してからオートクレーブをかけます。乳糖ブイヨン培地やBGLB培地などのダラーム管を用いてガスの発生を検査する培地は、滅菌後流水で急冷します(自然放冷するとダラーム管内に空気が残留してしまうことがあります。)
 
 3) 培地への接種法

(1) 液体培地への接種
菌株の場合、通常は白金耳の先を培地面に触れるだけで十分ですが、濃厚に接種するときには、試験管内の培地面の少し上の管壁に白金耳をこすりつけて菌隗をほぐしながら培地中へ均一に拡散させるように接種します。液体培地の場合、摂取量が培地量の10%以内であればそのまま混和してもかまいませんが、接種検体量が多い場合には培地の濃度を高くして調整し、検体を接種後に通常の培地濃度になるようにする必要があります。

(2) 平板培地への接種
A ) 白金耳での塗抹
白金耳の先を培地面に軽く触れた状態で培地全面に走らせるのを基本とします。菌数が多い検体から独立集落を作らせる塗抹法はいくつかありますが、一般的には培地の一部分(1/4位)に検体を塗抹後、白金耳を焼いて滅菌してから最初の塗抹部分の一部を引っかけ、残りの培地面に塗り広げます。

B ) コンラージ棒による塗抹

主に液状検体中の菌数を調べるときの塗抹法で、検体接種量が少ない場合に適用できる方法です。検体0.1mL(1〜3滴)以内の一定量を培地に滴下して、直ちにコンラージ棒で培地全面に塗り広げます(培地の表面が乾いている必要があります)。

C ) 混釈培養法
 主に液状検体中の菌数を調べる(固形物は希釈液で溶解して)ときの塗抹法で、接種検体
 量が多い場合にも適用できる方法です。シャーレに一定量の検体(通常2mL以内)を入れ、
 これに約50度に保温した培地を加え、シャーレを揺り動かして検体と培地を混和してから
 静置、培地を凝固させます。プロテウス等が遊走してしまうような培地では、混釈後凝固し
 た培地の表面に未接種の培地を薄く重層(通常5mLくらい)すれば防止できます。
 


D ) 半高層培地への接種
 SIM培地やLIM培地などの運動性をみる培地への接種は、白金線を用いて培地の中央に
 半分位の深さまで穿刺します。TGC培地やGAM半流動高層培地などの無菌性試験をする
 培地への接種は、検体を吸い上げたパスツールピペットを培地の底まで刺し入れ検体を
 少しずつ出しながら、ピペットを徐々に引き抜いて培地全層に接種します。

E ) 半斜面培地への接種
 白金線(白金耳ではない)を用いて、高層部に培地の底まで穿刺してから、斜面全面に塗
 抹します。

F ) 斜面培地への接種
 白金耳(または白金線)を用いて、斜面全体に塗抹します。培地の下部にたまっている凝
 固水に触れて、表面をぬらすようにして塗抹するとスムーズに接種できます。

注)一般的には白金耳と白金線の2種類があります。

白金耳 ・・・
ニクロム線の先をループ状にまるめたもの。主に平板培地への塗抹に使用されます。
白金線 ・・・ ニクロム線の先をそのまま、まっすぐにしたもの。主に平板培地上の集落の釣菌や確認培地への接種に使用される。高層培地への穿刺は白金線を使用する。


 7.食品の細菌検査に必要な機器器具
 1) 機器

(1)

乾熱滅菌器:器具、機材の滅菌に使用
(2)オートクレーブ:培地などの滅菌に使用
(3)ふらん器:菌の培養に使用
(4)恒温水槽:調製済み培地や試料の保温に使用
(5)ブレンダー、ストマッカー:試料の均質化または菌の培養に使用
(6)上皿天秤(0.1gから200gくらいのもの):試料の秤量、培地の秤量に使用
(7)顕微鏡
(8)コロニーカウンター[自動細菌数計測器:NeQCS(ネクシス)]
(9)ろ過滅菌用ろ過器およびアスピレーター(または真空ポンプ)
(10)蒸し器:粉末培地の溶解に使用
 2) 検査に必要な一般的器具

(1)

フラスコ、ビーカー類(100から1,000mL 容量各種)
(2)試験管(大、中、小試験管各種)および試験管立て
(3)ダーラム発酵管
(4)滅菌シャーレ
(5)ピペット類(1から20mLメスピペット、駒込ピペット等いずれも滅菌できるもの)
(6)メスシリンダー(100mL, 200mL, 500mL, 1,000mL 各種)
(7)ガスバーナー
(8)白金耳、白金線およびコンラージ棒
(9)ステンレス製滅菌缶(ピペット用、薬包紙用など)
 3) 検体採取用の器具

(1)

一般的な器具:ナイフ、はさみ、薬さじ(スパーテル)、ピンセットなど
(2)冷凍検体用:のこぎり、タガネ、おの、コアサンプラーなど
(3)検体採取容器:容積300mLくらいのガラス製またはポリエチレン製広口びん
(4)検査試料調製用:薬包紙、はさみ、ピンセットなどいずれも滅菌できるもの
(5)容量100から200mLの滅菌試料調整びん(100mLまたは50mL目盛り付き硬質ガラス製)
(6)滅菌希釈液(ペプトン食塩緩衝液など)90mL入り試料調製びん(試料調製びんは必要な数だけ用意する)
(7)ストマッカー用のポリ袋、パウチ
(8)乳鉢


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